PCR(Polymerase Chain Reaction)
PCRはテンプレートとなる遺伝子から特定の領域を増幅する反応のこと。遺伝子工学実験をやる上で非常に重要なのでできるようにしておきたいですね
Method
1.PCRチューブに反応溶液を調整する
Reagent | 容量 | 最終濃度 |
---|---|---|
template DNA | 10 ng | 0.67 ng/µL |
Fw Primer | 1 µL | 0.33µM |
Rv Primer | 1 µL | 0.33µM |
10x PCR Buffer | 1.5 µL | 1x |
dNTPs | 1.5 µL | 1x |
PCR enzyme | 0.2 µL | - |
(25 mM MgSO4) | (0.6 µL) | (1 mM) |
DDW(H₂O) | Up to 15 µL | - |
※10x PCRにMg²⁺が入っているものもあるので、Bufferの組成参照
2.サーマルサイクラーの準備をする
基本的には酵素によりますが、95℃,2minでインキュベートした後に95℃,30sec→(Tm-5℃),30sec→72℃,(1kb/min)で30サイクルほどかければよいかなと思います。
※Taqポリメラーゼは比較的熱に弱いので、KOD Polymerase、Pfu Polymeraseの場合には95℃→98℃、伸長温度も68℃に変更しましょう。製品書見つからなくてもこれでかければ大体いけます。
【ちょっとしたコツと原理】
Template DNAの量が多すぎるとスメアになる
PCRは増幅範囲の理論値が出ますが、増幅される産物のうち、プラスミドなどのTemplate DNAから増幅されるものは基本的にその理論値に従いません。これは何でかというと、Rv Primerによる終わりの部分が存在しないからですね。
プラスミドに結合したプライマーはDNAPによってDNAの伸長反応が起きますが、プラスミドが環状DNAなので伸長時間によってはぐるっと一周してしまうわけです これをフラグメント1 としましょうか。仮にこれがFw Primerによって起きた増幅だとすると、今度は熱変性した場合に一本鎖DNAが現れますが、フラグメント1には今度はRv Primerが結合して、伸長反応が起きます。この際にどこまで伸長するのかというと、Fw Primerの初めの位置までなので、ここでようやく理論値に従うフラグメントができるわけですね。
確率的な話になりますが、Templateの量が多いと、プライマーが合成されたフラグメントよりもTemplateに結合する確率が高くなってしまうので、スメアになってしまうということですね。
【PCRがミスっちゃう原因と解決策】
そもそもかからない
➡Tm値を下げるか酵素を変えてみましょう。だめなら終濃度5%のDMSOを加えてください。それでもだめならプライマーの買いなおしですね...
ヘアピン構造が近くにあるとだいぶかかりにくいです(体験談)。ヘアピン構造から離れた位置からプライマー設計してみてください。
ノンスぺがひどい
Tm値を上げるか酵素を変えてみましょう。もしノンスぺが目的位置と離れているのであれば、ゲル切りDNA精製法で目的産物だけ回収できます。
それ以外にも、制限酵素で処理してからPCRをかけてみる、目的の範囲を含めた遠めの位置からPCRをかけて、そこからそのPCR産物をTemplate DNAにPCRをかける(これをネステッドPCRといいます)。
プライマーの設計
5'側にG or Cを配置しておきましょう
FwとRvで塩基数の差が大きくならないよう気を付けましょう(5bp以上差があるのは個人的に不安)
連続した配列を置かないよう気を付けましょう(5'-AAAAAAA-3')など