プラスミド抽出

ここでは液体培養から大腸菌のプラスミド抽出についての方法を紹介していきます。今回はカラムではなく、アルカリSDS法の解説していきます。使用するBufferの組成は後でまとめて書きますね。

Method

初めに液体培養について説明します。これは簡単で、2 mLのSB培地(LB培地でも可)に寒天培地と同じ抗生物質濃度になるよう抗生物質を加えて、シングルコロニーを植菌します。これは爪楊枝でちょんとつつくだけで大丈夫です。一日経てばわんさか生えてくるはずなのでこれを使用します(生えない場合は抗生物質の濃度を落としましょう)。

アルカリSDS法によるプラスミド抽出

一番有名でなじみ深い方法です。プラスミドDNAとゲノムDNAを変性させ、プラスミドDNAだけを持ってくるような方法になります。

Method

1.2mLチューブに菌体培養液を加え、20,000xgで1分間遠心する

2.上清を捨て、菌体ペレットに300 µLのP1 Bufferを加える

3.ボルテックスし、菌体ペレットが完全に溶けた後、P2 Bufferを300 µL加える

P2 Bufferを加えると粘性のある透明な液体に変化します

4.軽く転倒混和し2分間静置する

5.P3 Bufferを400 µL加えて軽く転倒混和した後、20,000xgで10分間遠心する

P3 Bufferを加えると白色の沈殿が生じる

6.上清を新たな2mLチューブに移し替え、600µLのフェノール/クロロホルムを加えた後ボルテックスする

フェノール/クロロホルムは二層に分離しているので、下層を使用する。また、使用するときは手袋を着用すること。

7.20,000xgで1分間遠心する

遠心が終了すると上層、中間層、下層に分かれる

8.上清(水層)を新たな1.5mLチューブに移し替え、等量の原液エタノール、最終濃度150mMの酢酸ナトリウムを加え、-20℃で15分間静置する

9.20,000xg、4℃で15分間遠心する

常温での遠心でも大丈夫だけど、経験上冷やした方が収量が上がる気がする。それと、エタノールじゃなくともイソプロパノールで代用可能。

10.上清を捨て、150 µLのTE Bufferにペレットを溶かす

TE Bufferへの溶出量は適宜変更する

 

注意事項ですが、この抽出法でやった時はナノドロップがあてになりません!ゴミが非常に多いので、核酸の波は見れますが、正確な濃度は出ません、

なのでプラスミド濃度を正確に知りたい場合はバンドによる定量を行いましょう。こちらの方が確実です。

でも最近はカラムでminiprepする方法が一般的なので、お金ないときやさっとプラスミド取りたいときはこちらをお勧めします。

それと、下に使用するBufferの組成を書いておきますね。

Solution名 成分 濃度
P1 Buffer(溶菌バッファー) グルコース
Tris-HCl(pH 8.0)
EDTA
リゾチーム(あってもなくてもOK)
RNase
50 mM
25 mM
10 mM
1 mg/mL
10 µg/mL
P2 Buffer(アルカリSDS溶液) NaOH
SDS
0.2 M
1% (w/v)
P3 Buffer(中和液) 酢酸カリウム(pH5.5)
3 M

作成日:2025/1/18