制限酵素処理
クローニングの基礎の基礎である制限酵素処理についてお話しします!切断するだけならマジで簡単なのでささっと覚えて帰ってもらえると嬉しいです。
制限酵素とは...?
DNAの特定の配列(パリンドローム配列)を認識して切断するエンドヌクレアーゼのことです。道具でいうと「はさみ」になりますね。クローニングやプラスミドのマッピングなどに使用されます。もともとは細菌などが外来のDNAを防御するために使用している酵素です。
基本的に使用する制限酵素はSticky_endsと呼ばれる突出末端を持ちます。クローニング用ではこれが主流です。
さて、簡単に制限酵素についてお話ししたところでメソッドを見ていきましょう
Method
1. 1.5mLチューブに反応溶液を調整する
Reagent | 容量 | 最終濃度 |
---|---|---|
DNA | 100ng | 10ng/µL |
10x Reaction Buffer | 1 | 1x |
enzyme | 0.5µL | 0.05 |
DDW(H₂O) | Up to 10 µL | - |
2. 37℃で1-2hインキュベートする
本当にこれだけです。簡単でしょ?
あとは切断されているかどうかはアガロースゲル電気泳動で見れば大丈夫です。DNAの量もそこまで厳密じゃなくても大丈夫です。一応参考として酵素を買ったときに「unit」という単位があるのですが、それを見ると大体どのくらい酵素を入れればいいかがわかります。
ちょっとしたコツと見ておくべきこと
クローニングで使用する制限酵素は大体2種類のことが多いです。なので、同じDNAを2種類の異なる制限酵素で切断する必要が出てきます。
これに関しては、「Reaction Bufferの組成」がものをいうので、同じBufferで切断できるものを選択しましょう。
失活が必要な酵素、いらない酵素
大体の酵素は失活しなくても大丈夫ですが、認識部位と切断部位が異なる制限酵素は別です(これをよくTypeIIS酵素なんていいます)。
EcoRIやHindIIIなどは認識部位と切断部位が同じなので、切断した後DNAから離れてまた別の認識部位を探しに行きます。
一方で、TypeIIS酵素は認識部位と切断部位が異なるので、切断しても制限酵素がDNAに結合したままになります。この状態のまま電気泳動すると、DNAに制限酵素が結合しているので、バンドがスメアになったり、そもそもうまく流れなかったりします。なので、こういう事態を防ぐためにも、80℃で20minインキュベートして失活するか、フェノール/クロロホルム抽出をお勧めします。
作成日:2024/1/7