T4 DNA Ligase
ここではDNA同士の連結をおこなうライゲーション反応について紹介します。道具でいう「のり」に当たるものです。
簡単な原理
T4 DNA Ligaseは、DNA分子のリン酸ジエステル結合を形成する酵素でDNAのライゲーション(結合)を行います。T4ファージから精製される酵素です。ATP存在条件下でDNAの5'末端のリン酸基と3'末端のヒドロキシル基を結合します。
Method
1.1.5mLチューブに反応溶液を調整する
Reagent | 容量 | 最終濃度 |
---|---|---|
Fragment 1(insert DNA) | 比率5 | - |
Fragment 2(vector DNA) | 比率1 | - |
T4 DNA Ligase | 1µL | - |
10x Reaction Buffer | 1 | 1x |
DDW(H₂O) | Up to 10 µL | - |
※insert DNAの量が多い方が形質転換したときの空ベクターの率が少なくなるのでおすすめです。
2.16℃で2hインキュベートする。
基本的なライゲーションはこれで終わりです。あとは形質転換なりPCRなり好きに利用しましょう。
末端とライゲーション時間
制限酵素などで切断したDNAの末端の形状によってライゲーション時間を変えるといいです。たとえはHindIIIで切断したDNA末端同士をライゲーションするとき、これは15分でも全然ライゲーションします。一方で平滑末端DNA同士のライゲーションは8時間以上ライゲーションさせた方がいいです。TAクローニングの際のライゲーションは4時間くらい、と使い分けるといいです。
自作のBufferで反応効率を上げる
市販の10x Bufferではなく、自作の10x BufferにPEG(ポリエチレングリコール)を加えることで、反応時間を短縮できます。
成分 | 濃度 | 備考 |
---|---|---|
Tris-HCl | 500 mM (pH 7.5) | バッファー成分(pH調整済み) |
MgCl₂ | 100 mM | T4 DNA Ligase活性に必要 |
ATP | 10 mM | 結合反応のエネルギー源 |
DTT | 100 mM | 酵素の安定化 |
PEG 4000 | 50% (w/v) | クラウディング効果によりライゲーション効率向上 |
この濃度でBufferを作成すれば、それがそのまま10x Reaction Bufferになります。
作成日:2025/1/8