生物工学ちゃんの実験室

PCR (Polymerase Chain Reaction)

DNAの特定領域を数百万倍に増幅する、分子生物学の基本中の基本技術です。

原理

熱変性(Denaturation)、アニーリング(Annealing)、伸長(Extension)の3ステップを繰り返すことで、DNAを指数関数的に増幅させます。Tmが高いプライマーを使用する場合には、伸長過程でアニーリングするため、2ステップのPCRでも大丈夫です。

準備するもの

  • 鋳型DNA (Template DNA)
  • Forward Primer / Reverse Primer (10 µM)
  • DNA Polymerase (Taq, KOD, Pfuなど) & バッファー
  • dNTP Mixture
  • 滅菌水 (Nuclease-Free Water)

実験プロトコル

1. 反応液の調製 (50 µL系)

氷上で以下の試薬を混合します。

試薬最終濃度
滅菌水up to 50 µL-
10x Buffer5 µL1x
dNTPs (2mM)5 µL0.2 mM
MgSO4 (25mM) ※必要な場合2-3 µL1-1.5 mM
Forward Primer (10µM)1.5 µL0.3 µM
Reverse Primer (10µM)1.5 µL0.3 µM
Template DNA< 200 ng-
DNA Polymerase0.5 - 1 µL1 U

2. サーマルサイクラーの設定

ステップ温度時間サイクル数
初期変性94-98℃2 min1
変性94-98℃10-30 sec25-35
アニーリングTm - 5℃30 sec
伸長68-72℃30-60 sec/kb
保存4℃1

💡 成功のコツ

  • 酵素選び:クローニング用には変異の入りにくい「高正確性酵素(KOD, Pfuなど)」を、確認用には安価で増えやすい「Taq」を使い分けましょう。Taqポリメラーゼは熱に弱いので、94℃で変性させることをお勧めします。
  • アニーリング温度:プライマーのTm値より3〜5℃低く設定するのが基本です。バンドが出ない場合は温度を下げ、非特異バンドが出る場合は温度を上げます。
  • PCRがかからないとき:Tmを5-10℃下げてみてください。それでもダメそうなら酵素を変えてみるか、終濃度5%のDMSOを加えることで解決する場合がありますので是非お試しあれ。